毎日新聞社説 2012年06月24日 02時33分


リオプラス20 緑の経済へと進めよう


 ブラジル・リオデジャネイロで開かれていた国連持続可能な開発会議(リオプラス20)が閉幕した。

 今後10年の経済・社会・環境のあり方を議論しようと、世界191カ国・地域から約4万5400人が参加した史上最大の国連会議だったが、先進国と途上国との妥協の末に採択された成果文書「我々が望む未来」は具体的な目標や施策に欠け、かけがえのない地球を将来の世代に伝える明確な道筋は描けなかった。

 会議の最大のテーマは、環境を保全しながら豊かさを実現するグリーン(緑の)経済への移行だった。

 先進国側はグリーン経済の推進を掲げ、途上国も一定の責任を負うべきだと主張したが、途上国側は開発の邪魔になるなどと反発。結局、グリーン経済の重要性は文書に盛り込まれたが、実行は各国の判断に任された。地球環境保全などに向けた新たな数値目標の策定も合意されたが、項目の具体化は先送りされた。

 ちょうど20年前、同じリオで開かれた「地球サミット」では、環境保全や貧困解消を掲げる行動計画「アジェンダ21」が採択され、気候変動枠組み条約と生物多様性条約の署名開始という成果をあげた。東西冷戦の終結で、地球環境問題が世界共通の課題と認識されたのだ。


 20年後のリオでは、先進国の経済状況の悪化が影を落とした。新たな資金援助を求める途上国に先進国は応じることができず、オバマ米大統領や英独両国の首相、日本の野田佳彦首相らは出席すらしなかった。

 だが、経済活動に伴う生物資源の利用や温室効果ガスの排出は地球の許容量を超える。一方で世界人口は70億人を超え、貧富の差は拡大した。だからこそグリーン経済への移行が必要だ。国連環境計画は世界の国内総生産(GDP)の2%を毎年、再生可能エネルギーや省エネなどに上手に投資すれば、世界経済はグリーンに移行でき、雇用創出や途上国の貧困対策につながると分析する。

 玄葉光一郎外相は環境・防災分野で今後3年間に計60億ドル(約4800億円)の政府開発援助(ODA)を拠出すると表明したが、東日本大震災と福島第1原発事故で自然の猛威とエネルギー多消費型社会の危うさを知った日本は、グリーン経済への移行で世界の先導役となるべきだ。成功例を積み上げることで、途上国の理解にもつなげたい。

 中国やインド、ブラジルなど新興国が経済発展を遂げ、南北の構図も変わった。各国は、地球環境の保全と途上国の発展の両立を目指す新たな枠組みも探ってほしい。温暖化でも生態系の破壊でも、その影響は国境を越え、一つしかない地球という惑星に降りかかってくるのだから。

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◎.日本の表明、玄蕃大臣は何を考えながら「4800億円の政府開発援助」を行うと・・・・・、「目論見」もお聞きしたいものです。 (keniti3545)

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