「71才の365日」3月27日晴れ−3℃(火)「東日本大震災」383日

*朝トレ:昨日に準じて8時30分〜9時30分(コーチに)指示されずとも学習出来ていました。

 myコースopen!カラスもお出迎えいや、感激です!キジのつがいも倉井さん庭の片隅から土手を上がってきた。去年秋口まで連れていた5羽の子キジはもう巣立って居ないんだろうな〜。
 や、や、コースin頭上のアーチは枯れ枝のままだから葉隠れも出来ない「オナガ」がギーギーとおしゃべりだ。姿見えても平気らしい。何かみんな妙に馴れ馴れしく見える。それでも我れのメニュー終盤にはみんな消えてしまった。お互い「良い陽気になりましたね」の挨拶だったか? 明日からも楽しみだ!



*火曜日、放射線定点測定日

本日の測定結果

◎.全てのデータ (原則)地表2cmの測定とする1点6回の測定:高順位値2点の記録

東:自宅外(から)距離 30m 堤防上

北:自宅外(裏)空き地、雑草有り、西北に防風林有り、

南:自宅敷地内ベランダ(ブロック塀あり)

西:自宅敷地内雨樋

M:細尾町モデルセンター庭

  

(3月21日)前週の測定値(雪なし:枯れ芝上に計測器)

東:0.36 0.28μSv/h 西:0.27 0.23μSv/h 南:0.26 0.21μSv/h 北:0.27 0.27μSv/h 

M:0.28 0.25μSv/h

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↓ (2012.3.27) 雪なし 地表・枯れ草

3月27日 本日の測定13時30分〜14時30分

東:0.32 0.32μSv/h 西:0.27 0.21μSv/h 南:0.79 0.77μSv/h 北:0.36 0.27μSv/h 

M:0.48 0.43μSv/h



*前回コメント(黒字)残したまま、下段に今回コメント記述する

◎高値スポット今回は、 堰堤上・裏庭空き地 ともうに枯れ芝の上強風
  高値Sが降雪以前と同じ南へ戻った
◎各ポイント5点各々平均値の、『平均値』は 0.22μSv/h 前回より高値。は、雪解け枯れ芝?
         〃        〃  0.34μSv/h 更に高くなった!

*雪解けには、下の地肌は以前の高値に戻る(若しくは更に高値が出現する恐れ有りと思います)予測が当たっているようだ。(悪い結果へ繋がるかも?)
 更に顕著になったようだ。

◎雪解けに「春一番」、足尾峠、いろは坂からの吹き下ろしに清滝小学校の校庭は?心配変わらず。 (この文章次回まで残そう)
 今年は、春一番と呼べる時期に強い風は吹かず仕舞と言う事ですが、雪解けのグランドはかなりの高値に成っていると思われます。




*「東日本大震災」383日


今日の一題 「東電の原発は全部止まった」! 

日本の原発で稼働しているのは北海道電力の泊3号機1基・これも5月5日に定期検査のために停止予定。これを受けて今日も「二大紙」を読み比べて見ます!


[1].3月27日朝日新聞社

原発再稼働―なぜ、結論を急ぐのか 野田政権が原発の再稼働に踏み切ろうとしている。


 東京電力柏崎刈羽原発6号機が定期検査に入り、全国で稼働しているのは、北海道電力の泊3号機1基になった。それも5月5日に止まる予定だ。

 「稼働原発ゼロ時代」に向かうなか、原子力安全委員会関西電力の大飯3、4号機(福井県)について「ストレステストの1次評価は妥当」と認めた。

 これを受けて、野田首相経済産業相ら関係3閣僚が「稼働しても問題はない」と判断し、地元の理解を得る段取りを考えている。

 しかし、1次テストは地震津波に対する原子炉の余裕度を机上でチェックするものにすぎない。

 なぜ、福島第一原発で事故が起き、被害の拡大防止に失敗したのか。その詳しい検証は進行中であり、新たな安全基準作りもまだ道半ばだ。

 全国の原発では、電源喪失に備えた短期的な対策を講じた程度だ。福島事故で作業員が立てこもった頑丈な免震重要棟も、大飯をはじめ、多くの原発には備わっていない。

 安全委自ら、「1次評価だけでは安全性を評価するには不十分」と位置づけているのに、なぜ政治判断を急ぐのか。

 首相らが夏の電力不足を心配しているのは言うまでもない。その懸念はわかる。

 であれば、まずは電力需給を精査しなければならない。

 需要面では、電力使用が前年実績を下回ったら料金を割り引いたり、ピーク時の料金は高くしたりする制度を広げる。いざという時に電力の使用を制限する代わりに、料金を低く抑えている大口顧客との「需給調整契約」を徹底する。

 供給面では、企業が持つ自家発電をもっと活用する。各電力会社の送電線を結ぶ連系線を積極的に使い、広域で電力をやりくりする。

 こうした対策を講じた場合、本当にどの程度、電力が足りないのか。そのシミュレーションを明らかにするのが、再稼働を判断するための大前提だ。

 全国の原発54基のうち53基が停止している背景には、「原発を減らしたい」という多くの人の意思がある。

 一方で、電力業界には「大飯をきっかけに順次、原発を再稼働させたい」という思惑が透けてみえる。

 野田政権は軸足をどこに置くのか。首相が脱原発依存への大きな道筋を語らないまま、原発の再稼働に動いても、世論の支持は得られない。


◎.この状況で政治判断?どんな屁理屈付け足しても再稼働へゴーサインは出せませんよね! (keniti3545)


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[2].3月27日読売社説

東電全原発停止 信頼回復にタガを締め直せ

 東京電力柏崎刈羽原子力発電所6号機(新潟県)が定期検査に入り、東電の原発すべてが運転を停止した。

 検査を終えた原発を再稼働できないまま猛暑の夏を迎えると、東電管内は最大13%の電力不足に陥る見込みだ。

 発電機の増設など緊急対策も追いつかず、企業と家庭は大幅な節電を求められるだろう。

 原発の代わりに運転する火力発電所の燃料費は、東電だけで年8000億円増え、その影響で電気料金の値上げも避けがたい。

 突然の停電など不測の事態を防ぐため、安全を確認できた原発の再稼働が必要だ。東電は再稼働や値上げ、節電について、誠実に理解を求めなければならない。

 ところが、肝心の東電が不手際を連発し、国民の不評をかっているのは問題である。

 東電が、柏崎刈羽原発で行ったストレステスト(耐性検査)の報告書は、計239か所もミスがあり、枝野経済産業相を「けた違いにひどい」とあきれさせた。

 緊張感を欠いていないか。安全操業の能力に疑念が生じ、再稼働への地元の理解も得にくくなる。東電は、再発防止を徹底することが不可欠だ。

 値上げに関する不誠実な対応も東電への不信を増幅させた。

 東電は4月1日から、工場やオフィスなど大口の電気料金について平均17%の値上げを開始する。本来、1年ごとの契約更新日までは安い旧料金が適用される。

 しかし東電は、「現在の契約期間にかかわらず、4月1日以降は新しい電気料金」という通知を契約者に送り、値上げを先送りできる選択肢を明示しなかった。

 これを経産相が今月21日に強く批判するや、東電の西沢俊夫社長は「言葉足らずだった」と陳謝した。だが、契約者の反発や苦情は今月上旬から東電に寄せられていた。対応の遅れは否めない。

 一般の民間企業とは違う、独占企業の「おごり」が垣間見える。東電は猛省すべきだ。

 東電と原子力損害賠償支援機構は、今後10年の経営戦略である総合特別事業計画の策定に向け、最終調整を進めている。

 事故収束と損害賠償、電力供給の責務を果たすため、東電の収益強化や組織改革の方策を示す。

 原発の再稼働と家庭向けを含めた料金値上げが、その前提として盛り込まれる。事業計画も、国民の理解が得られないと「絵に描いたモチ」となろう。東電はそのことを肝に銘じるべきである。

 ◎.要するに読売さんの「心配事」は 何処まで行ってもこれだけなんですよね! (keniti3545)

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*もう一本あります。

箕面さんの言ってる事も一番国民目線に近いと思いますし、「原子力安全読本」に至っては、その内容がいつ我々の目にする事が出来るのか?も知る事が出来ません。が、この内容であれば、本当に第二の「原子力安全神話」を作ろうとしているようにしか見えません。国民(ターゲットにしている子供達の親でもあるんです)の「70%以上が脱原発の意思表示をしている」中。この行動は、我れには決して理解出来るものではありません。 (keniti3545)

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2012-03-27 06:53:49 | 日記おはようございます。
 生き生き箕面通信1204(120326)

東電の全原発が停止。文科省は「原子力安全読本」を小中校に配布

 東京電力原発17基のうち唯一運転していた柏崎刈羽原発6号基が本日3月26日午前零時に定期検査のため発電を停止(完全停止は本日夕)し、東電の全原発が稼働を止めました。原発がなくても大丈夫な社会づくりへ
進む好機です。


 日本の商業用原発54基のうち、動いているのは北海道電力泊原発3号機だけになりました。これも5月5日には停止の計画です。オール・ニッポンで「脱原発」を実現する好機です。

 ところが、野田政権は、関電大飯原発3,4号基をなんとかして再稼働させようとやっきになっています。これを動かさせなければ、日本の全原発が今年の子どもの日からは停止状態となり、「脱原発」が実現してしまう。そのままいけば、「なんだ、原発がなくても電気は不足しないではないか」と、分かってしまう。政権側は、「日本のエネルギーは原発に支えられてこそ成り立っている」と主張してきましたから、「原発がなくても大丈夫」なことが国民に知られるのは、なんとしても避けたい。それだけに、大飯原発を早く再稼働させることが、大事なのです。

 ここ1,2か月は、原発固執する野田政権と、原発のない日本を求める人々との、歴史的なせめぎ合いということになります。

政権側(具体的には文科省経産相の合同プロジェクト)は、長期的にも原発が受け入れられる風土を作り出すため、この4月からの新学期には小中学校に原子力副読本「わくわくランド」を配ります。その数、1300万冊。従来も配っていましたが、フクシマの事故を受けて、内容の見直しを進めていたものです。ところが、新しい副読本も、「大きな津波が襲ってきても、原発の機能は損なわれない」という安全PRが相変わらず先行。「放射能は一度に100ミリ・シーベルト以下を浴びても、それが原因でガンになったという明確な証拠はありません」など、どこが見直されたのか、といった代物です。子どもの時から、「原子力安全神話」で洗脳する文科省経産相の思惑はまったく変わっていません。

 一般の国民向けには、読売新聞が「洗脳役」です。事実、本日から始まった一面企画「原発危機」は、「『40年で廃炉』薄い根拠」が見出し。内容は「たとえ40年経ったオンボロ原発ても使い続けましょう」という趣旨のとんでもないキャンペーンです。細野原発相が「原則40年廃炉」を打ち出したことに、「根拠が薄い」とかみつき、「運転期間は個々の原発の特徴を踏まえ、技術的な判断に基づいて検討するのが国際的に共通の考え方だ」などという原発ムラの極めて偏った”識者”の言葉を麗々しく引き合いに出しています。読売新聞が大々的に報じることで、「洗脳」されてきた人は数知れず。その意味では、読売は、犯罪的な政府の広報紙といえます。

 原発問題はとりわけ、私たち自身が自分の目や耳で見聞きし、自分の頭で判断する「だまされない国民」になることが自分と子や孫、子孫のために必要とされています。


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◎.極論を良しとしない人達も多いと思います。しかし、「ニュース」を読むときは、常に「対極をも見据え・取捨選択の出来る知識を身につけ・柔軟な姿勢を保ち・その上で自身の意見を持たなければならない」ということではないでしょうかね。 (keniti3545)

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「プラス1」

 


シェールガスに期待し過ぎてはいけない

持続的と考えられてはいない米国のLNG輸出
 「大場 紀章  2012年3月26日」

 エネルギーの話題は、読者の関心のポイントや好き嫌いが実に様々で、議論のターゲットを絞るのが大変難しいです。本来は、短期の課題と長期の課題を分けて議論するべきです。しかし、例えば原発再稼働の問題をとっても、今年の再稼働の有無の判断が長期にも影響を与えると思われるため、容認派・反対派の両者にとって死活的問題となり得て、長期・短期を簡単に切り分けることができません。このように、直近のことを決めるにも、長期の話をせざるを得ません。しかし、長期 の議論が直近の事情に引きずられてしまい、本来の長期的な背景の部分がごっそり抜け落ちていることが、私の基本的な問題意識です。

今回は、最近少なからず目にすることのある、シェールガス(頁岩=シェールの中に残留した天然ガス)について取り上げたいと思います。

 「シェールガスのお陰で米国ではガスがとても安く、それを日本に輸入できればいいのではないか」といった話題に何となく期待している方、またはその構想に一抹の不安を抱いている方に向けて、私の見方を紹介します。シェールガスのことを全く聞いたことがない方は、大変申し訳ないですが日経ビジネスオンラインに優れた関連記事が多数ありますので、そちらを参考にしてください。

 シェールガスをテーマにするといっても、採掘時の環境問題や開発企業の経営上の問題、将来的な生産量、中国やポーランドなど米国以外での生産の広がりなど議論しなければならないことは山ほどあり、そこにご興味を持つ方もいらっしゃると思います。しかし、今回はすべてをすっ飛ばして、米国のシェールガスを日本が輸入するとことの意味に的を絞ります。


日本の7分の1、米国の天然ガスの安さは魅力

 現在、日本が輸入している天然ガスLNG:液化天然ガス)の価格と、米国内での天然ガス価格ではおよそ7倍の開きがあります(図1)。であれば、米国からその安いガスを輸入できれば、原発が止まってLNG購入価格の高騰にあえぐ日本にとっての救世主になるのではないか、と淡い期待を抱きたくもなりますが、事態はそう単純ではありません。

図1:2004年からの天然ガス価格の推移

日本エネルギー経済研究所国際通貨基金、米エネルギー省エネルギー情報局の統計より


 現在、米国政府に認可されているLNG輸出プロジェクトは8つあり、計画輸出量の総量は年間約1億トンと、米国のガス消費量の2割に匹敵します。そのうち、非FTA締約国に対する輸出認可が下りているのは今のところ1件(Sabine Pass)のみです(図2)。Sabine Passのプロジェクトは、英国、スペイン、インド、韓国(3月にFTA発効)などの国々に向け年間1600万トンが販売されることが決まっています。

 これらの案件が生まれてきた背景には、もともと米国LNGの輸出ではなく輸入増大をあてこんでLNG受入基地を建設した事業者が、シェールガス生産の拡大により輸入量が激減したため開店休業状態となり、やむなく液化設備を増設し、内外価格差を利用して輸出業者になろうとしている、という事情があります。

図2:北米LNG輸出案件
連邦エネルギー規制委員会の資料、各種報道より作成


 米国の認可とは別に、カナダにもいくつかのLNG輸出案件があります。しかし、コストなどの条件で米国案件には見劣りし、プロジェクトが生まれては消えています。また、カナダではオイルサンド(原油を含んだ砂岩)の生産のための安価な天然ガス供給確保が課題となっており、そちらへの供給と競合してしまうという別の問題があります。

米国ではLNGを輸出すべきかの議論に

 一方、日本ではあまり知られていませんが、米国では「そもそもLNGを輸出すべきかどうか」が議論されています。8つの輸出案件のなかでSabine Passしか輸出認可されていないのもそうした事情を反映しています。もし、輸出しても余りあるほどのシェールガスが生産されるのであれば、このような議論は発生しないはずです。裏を返せば、懸念材料があるということです。

 これまで、シェールガス生産量は順調に伸びてきましたが、必ずしもこの傾向が続くとは限りません。シェールガス生産の急増は、もともとは技術革新によるものですが、それ以外にも過剰期待によって産み出されたバブル的な過剰供給の側面が多分にあると指摘されています。1MMBtu(英国熱量単位)当たり2.3ドルという現在の価格水準は、シェールガス生産の採算分岐価格(4〜7.5ドルと言われる)を大きく下回っており、ガス販売自体では採算が取れていないと考えられます。実際、2012年1月、シェールガス米国第2位のチェサピーク社はできるだけ早い時期までにガス生産量を16%削減すると発表、ほかにもコノコフィリップス社、BG社、エンカナ社などがシェールガス生産計画の縮小を相次いで発表しています。


米国エネルギー省は資源量見積もりを4割下方修正

 また、米国エネルギー省(DoE)による米国のシェールガス資源量見積もりは、2010年から2011年にかけて2.4倍に増えましたが、2012年は逆に4割以上下方修正されています(図3)。これも、事前の過剰な期待による見積りが、実際に開発が進むにつれ現実が明らかになり、修正されたことを示しています。

図3:DoEの米シェールガス資源量見積もり
 需要面にも懸念があります。米国では2020年までに老朽化した石炭火力発電所の約12%が停止することになっていますが、環境規制によってその多くが天然ガス火力に置き換えられることになっています。2020年までに新設されるガス火力発電所によるガス需要の増加量は、年間1.6〜3.5tcf(兆立方フィート)と予測されています<注>。これは、現在の年間消費量の7〜16%に相当します。

<注>ICF Internationalは年間1.6〜2tcf、デロイトは3.5tcf、ドイツ銀行は3tcfと予測






 それでも、DoEは今年発表の最新のエネルギー見通しで前年までの輸入見通しを一変させ、北米全体の天然ガスは2016年から純輸出に転じるとしています。一方、英国のオックスフォードエネルギー研究所が1月に発表した報告書では、米国のガス生産量やアジアのガス需要の高低により4つのシナリオを設定し、北米の天然ガス輸出入の見通しを試算しています。その4つのシナリオのうち3つでは全期間で純輸入となり、唯一LNG輸出があるシナリオでも輸出は数年間だけで再び輸入に転じてしまいます(図4)。



    図4:各機関による北米天然ガスのネット輸出入見通し



 LNG輸出事業モデル自体にも懸念があります。既に述べたように、今挙がっているLNG輸出案件は、元はLNG輸入に失敗した事業者の生き残りを賭けた経営多角化であり、事業者自体はガス生産者ではありません。そのため、事業者は基地使用料と液化コストを取るだけのビジネスで利幅が狭く、さらに地域間の価格差だけに依存しているという非常にハイリスクなビジネスモデルです。

 例えば、Sabine Passの案件では、北米ガス価格(1MMBtu当たり2.3ドル)の15%の基地使用料に固定の液化コスト3ドル、それに輸送費、保険費を加えると購入価格は約9ドルとなります。確かに日本の現在のLNG輸入価格である約16ドルと比べて安いですが、昨今の価格変動を考えるといつ差がなくなってもおかしくありません(図1)。おまけに、公共の利益に反すると判断されれば、政府から輸出許可の取り消しもあり得るという政治リスクもあります。こうした理由から、大手ガス企業はLNG輸出事業には参入する気配もなく、米国の投資銀行も投資に慎重な姿勢をみせています。

 このように、米国からのLNG輸出が必ずしも持続的と考えられてはいないことが分かります。


価格上昇リスクを過小評価?

 DoEは、LNG輸出が米国天然ガス価格に与える影響について検討した報告書を発表し、その中で24〜54%の価格上昇があると見積もっています。これは無視できない上昇ですが、現在の価格が非常に安いことを考えれば、著しく大きいとも言えません。ウッドマッケンジーやIHSのようなエネルギー専門機関も、LNG輸出による価格への影響は軽微だとの見解を表明しています。

 しかし、こうした見通しは、ガス価格の低迷にあえぐガス生産者業界の声を代弁しているのかもしれず、リスクを過小評価している可能性があります。実際、ガスを大量に購入する化学、電力、製造業、アルミなどの産業界の懸念は根強く、特に雇用力の大きい製造業を中心に地元国会議員に対して強い圧力をかけています。

 また、安全保障上の議論もなされています。非FTA国に向けてLNG輸出を認可することは、日本と同じように高いLNGを購入している韓国、台湾、中国に向けて輸出することを意味しますが、将来軍事的に敵対する可能性のある中国に対して、戦略物質とみなせるLNGを供給することは国家安全保障上問題である、といった議論です

 2012年1月4日、エドワード・マーキー下院議員(民主党)は、米国エネルギー省スティーブン・チュー長官に対し、LNG輸出許認可を再考するように進言する書簡を送りました。さらに2月14日にはLNG輸出認可を2025年まで差し止めさせるなどの内容を含む2つの法案を下院に提出しています。

 一方、エネルギー省の石油・天然ガス局クリストファー・スミス副次官補は、2月24日チュー長官の指示により書簡に回答し、エネルギー省は許認可権を価格コントロールの手段としては考えていないとの立場を表明しました。

 とはいいながら、チュー長官自身、価格上昇の影響の懸念を表明しており、LNG輸出の影響評価が終わるまでは決断をしないと発言しています。



お金さえあれば買えるものではない

 2月22日、我が国政府は米国からのLNG輸入に向け米政府と協議をしており、今春予定している日米首脳会談で合意できるように調整していることを明らかにしました。Bloombergが報じたところによれば、日本はCameron(計画:年間1200万トン)、Cove Point(計画:年間782万トン)、Freeport(計画:年間1320万トン)から輸入しようとしており、経済産業省の安藤資源燃料部長は合計3000万トンを超えるこれらの供給力のうち2割の600万トンが輸入されれば、日本の総ガス需要の約1割を占めることになると言いました。ただし、輸入開始時期は早くても2015年以降になると考えられます。いずれにせよまだ数年間は何の足しにもなりません。

 しかし、これまで述べてきたように、今の米国にとってこれ以上LNG輸出を認可することは、簡単ではありません。天然ガスを輸出することで得られるメリット(販売量増加と価格上昇によるガス事業者の利益拡大、ガス開発投資増、日本などの輸出先の景気下支え)と、デメリット(国内ガス価格上昇、化学・製造業等の雇用減、国家安全保障リスク)を比べて、総合的に国益にかなうかどうかを見極めなければなりません。

オバマ大統領は、輸出を倍増して雇用を拡大する方針を掲げていますし、現在米国ではガソリン価格が上昇し、中間選挙を控えたオバマ大統領にとってエネルギー価格はセンシティブな問題になっています。輸出を認可するハードルはかなり高いと思われます。そうなると、日本への輸出認可合意には何らかの政治的対価を求められると考えるのが当然ではないでしょうか。LNG輸入を取得した韓国も、FTA締結という対価を既に払ってきたと言えるでしょう。

 そうした国際政治上のリアリティを考慮に入れず、安いならただお金を払って分けてもらえばよいと考えてしまいがちなのは、日本のエネルギー議論のナイーブでとても危うい部分かと思います。もし米国からのLNG輸入を期待するならば、積極的な日本側からのトレードオフ提案を伴っているべきです。問題は、あまりに外交力のない今の日本にめぼしい交渉カードが見当たらず、足元を見られてどんな厳しい要求を飲まされるかわからないということです。おまけに要求を飲んだ上でも、実際に安いLNGが長期的に輸入できる保証はありません。

 現在の米国の安いガス価格は確かに魅力的に見えますが、ただそこだけを見て安易に「シェールガスがあるから大丈夫」などというのは短絡的に過ぎるのではないでしょうか。エネルギーはお金さえあれば買えるものではないのですから。

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◎.何回もののシリーズに成るのか、解らないのですが「時局を捉えた記事」として、少し勉強してストックしておきます。時間ある時に、めくってみて下さい。大きな変化の出現も「なきにしもあらず」ですね。 (期待してるんですがね? keniti3545)