「71才の365日」3月26日(月)晴れ−4℃「東日本大震災」382日

*朝トレ:今日はマネージャーからダメだしでした。今週は中半まで温度の低い日が続くそうです。 はい、時間を大幅に遅らせて「お爺さん散歩でもします」




*「東日本大震災」382日



今日の一題   放射線被曝予防」二紙読み比べ 


朝日新聞3月26日社説
食品と放射能―検査充実と情報提供を 


食品中の放射性物質に関する新基準が4月から適用されるのに伴い、いよいよ新基準に基づく検査が始まる。

 東京電力福島第一原発事故以来使われてきた暫定基準から4〜20倍に強化され、世界的にみても大変厳しい基準になる。

 その分、これまでよりはるかに精密な検査が必要になるが、厚生労働省は今月半ばに指針を定めたばかりで、各自治体では準備に追われている。

 混乱も心配される。新基準が消費者の安心につながるよう政府が果たすべき責任は大きい。

 まず大切なのは、いうまでもなく、検査態勢の整備だ。

 新基準では、食品1キログラム当たりの放射性セシウムは、一般的な食品では従来の500ベクレルから100ベクレルに、牛乳や乳製品は200ベクレルから50ベクレルに、飲料水は200ベクレルから10ベクレルになる。

 厚労省の検査指針は、50ベクレルを超えた例のある食品を重点にするとし、検査の頻度なども細かく指定した。網の目を細かくして汚染を見つけるねらいだ。

 問題は、高精度の検査をするには時間と手間がかかり、そのぶん検査できる点数が減ってしまうことだ。基準を超える食品のすり抜けが心配されている。

 各自治体は、検査機器や職員を増やしたり、外部に委託したりするというが、対応しきれないところも出てくるだろう。

 必要な検査装置や、人員を確保する支援は政府の役割だ。

 都道府県を越えて、検査を分担したり、検査装置を融通し合ったり、といった調整も進めなくてはならない。

 検査の仕組みの点検とともに実態も調べ、見直しを進める必要もある。

 検査される食品の半分以上を牛肉が占めるという現状は、食品全体の汚染状況から見てどうか。検討すべきだろう。

 一方、新基準によって、健康へのリスクがどうなるのか。新基準の意味や検査態勢もふくめて、消費者にわかりやすく説明することもとても重要だ。

 規制の目的は、食品を通じての内部被曝(ひばく)を減らすことだ。毎日の食事から実際にどれだけ内部被曝することになるのか、具体的なデータがあれば、リスクを考えるのに役立つ。

 福島県などで実際の食事を調べた結果によれば、現状でも、1年間の被曝量1ミリシーベルト以下という新基準がめざす目標よりはるかに低い。

 厚労省は、こうした調査結果を公開して、消費者の理解を求める必要がある。ていねいな情報提供もふくめて総合的に取り組んでこそ安心につながる。

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内部被爆と外部被爆の違い・被爆被害の線量の大小はの差はあっても、この問題は根は同じです。議論、実行までの考え方に差別があってはならない重要課題であるはずです。大手新聞二紙を読んで自分の判断力を、計って見て下さい。 (keniti3545)

我れの個人的意見は末尾に、

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3月26日付・読売社説
 震災がれき 広域処理をもっと拡大したい

 東日本大震災で発生した岩手、宮城両県のがれきの受け入れを表明する自治体が増えてきた。

 歓迎すべき動きだ。復興の妨げとなる大量のがれきを一日でも早く撤去するため、広域処理での連携をさらに拡大していかねばならない。

 がれき処理の引き受けは、東京都と山形県青森県の一部の自治体にとどまっていたが、震災から1年を迎えた今月、広域処理に向けた取り組みが、にわかに活発になった。

 15日時点の集計で、複数の自治体による処理組合を含め、12都道府県の25自治体が受け入れの意向を示した。その後、青森県八戸市が焼却処理を始め、埼玉県は試験焼却を実施した。

 きっかけは、野田首相が震災1年を機に、広域処理の推進を強く訴えたことだ。16日には災害廃棄物処理特別措置法に基づく受け入れの要請書を各県や政令市に送付した。広域処理の流れが加速することを期待したい。

  注(1) 放射能汚染に対する一部住民らの過剰な反応は、いまだに残っている。日本全体が協力して、がれき処理に取り組まねばならない時、受け入れを拒む声があるのは残念な事態と言うほかはない。

 自治体の首長は、被災地復興を後押しする観点から、積極的に受け入れを決断してもらいたい。

  注(2) 政府に求められるのは、情報を公開し、がれきの安全性を周知させることだ。自治体が最終処分場を整備する際の財政支援なども、着実に実施してほしい。

 今後は、自治体の焼却炉だけでなく、民間の工場などでの処理も増やしていくべきだろう。

 広域処理の一方で、岩手、宮城県内での処理も、可能な限り進めていく必要がある。

 細野環境相は、宮城県内の海岸線で、がれきの上に盛り土して、そこに津波対策用の防災林を整備する方針を示した。村井嘉浩知事も「非常に有効な方法だ」と期待感を示した。がれきの再利用策として、早急に取り組むべきだ。

 両県内での仮設焼却炉の増設も急がねばならない。

  注(3) 最大の難点は用地の確保だ。宮城県石巻市は、港の近くにがれきの破砕・選別施設と仮設焼却炉を設置する計画だが、その用地には処理のメドが立たないがれきの山がそびえたままだ。がれき処理の遅れを象徴する光景である。


 こうした状況を早急に解消するためにも、被災地と、それ以外の地域が連携し、処理を進めることが求められている。(2012年3月26日01時22分 読売新聞)

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読売新聞さんへ、(keniti3545) 


注(1)「放射能汚染に対する一部住民らの過剰な反応は、いまだに残っている」

これは、誰が聞いても正当な問題提起をしている住民の意思を完全に無視・侮蔑視した失礼な言葉でないのか?


注(2)「政府に求められるのは、情報を公開し、がれきの安全性を周知させることだ」

「がれきの安全性」とは、今後の推移も含めて誰も判断が下せないところである筈だ。にもか関わらず、実施に当たっての留意点すら挙げていない。「住民感情の無視」に止まらず、被爆に関する安全確保の無視にも繋がり兼ねない!


注(3)「最大の難点は用地の確保だ」

結び文節への導入が、「最大の難点は用地の確保だ」これだ。そして、最後まで「住民の心配事」「子供の健康被害」「安全」に関する施策等、何一つ言及していない。 


◎他に出てくる言葉も、政府は何もたもたしてるの、総理が出てくれば受け入れ地域も増えてきたじゃないの・財政面の手当はちゃんと考えて上げなさいよ。とにかく急がせなくちゃ。  こんな論旨にしか取れませんよ。

 世の若いお母さん達がわが子達の健康を必至に守ろうと見守っている中です。線量は「確りチェック」する、焼却炉にも確りフイルター設備を敷設させ紛れ込んだ汚染がれきがあってもバッグフィルタで捕まえます。焼却炉の数も増やし稼働中の管理も確り行います。焼却後の粉塵は何処へどのように保管します。と説明して上げなければ、お母さん方は死んでも反対したい心境ではないのでしょうか!? (keniti3545)


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事故後一年を経過しても、食品から内部被爆を一義的に防御・次に外部被爆の防御と、割り切る訳には行かない問題と思いますし政府の姿勢も勿論そうあるのだと思っています。しかし、今回食品関係を4〜20倍という厳しさに引き上げたのは、 「厳しく内部被爆予防を進めようとする方針が、伺えます」。

 一方外部被爆に関しては、 {先ずがれき処理に関しては政府の真意が計りかねます。原発から距離のある地域で発生した大半のがれきに「放射線被曝の恐れは極少」であるという思いこみと決めつけが政府にあったのではないか?と思います。 しかし「側から見る・聞くがれきは決してそんな風に見える道理がありません」。 

 そこえ、政府の焦り、マスコミ含めての早く片付けろコール。測定しても基準値内だから心配要らぬ早く受け入れてくれと大臣が駆け回ったからと言って一気に進む訳がない。もしそれで出来てしまったら後にまだまだ大きい問題を残す事にも成りかねませんね。何も方策無しで「犠牲的精神」でを利用するのは、これまでの”騙し”と変わりない事です。ここからは、前出のコメントに記しましたので省きます}


 このがれき処理のつまづきに加えての懸念は、「除染」に関してです。 先夜、NHKスペシャルで「浪江町の被災から一年間」と言う番組は除線に関しても大きな問題提起が成されていましたね。 


今行っている方法で (1)目標値まで線量を下げる事が出来るのか(2)そこで居住生活が出来るようになるのか(3)子供は帰れるレベルにならないだろう(4)それでも頑張る必要があるのか(5)頑張った人は全て報われるのか(5)町長の全員揃って帰還の夢は叶いそうもないと言うところまで来た。(6)首長は何処の時点でどういう方向に舵を切るのか 
(7)離反する仲間 (8)子供もいないコミュニティーなんて存在するものか(9)実際に別の土地に町の存続はあり得るのか(10)除線の続行か放棄かの問題もいずれ来る(11)除染中止の判断は


 浪江町問題から離れても、 (12)高濃度汚染地の除染問題(13)これだけの大事故の後:変わらなければならな事も出来てしまう。 居住禁止区域が実在するのも当然、此処と同等の扱いをされる区域がこれからも出る可能性もある。このことも、地元住民と国の共通認識を常に持つよう心がけなければならないのだろう。 (keniti3545)


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「プラス1」

日経ビジネスONLINE 3月12日)


サウジアラビアが石油輸入国になる日

急増する国内需要、「アラブの春」の余波も

 前回の記事に対し、たくさんのコメントを頂きました。ありがとうございます。様々なご意見を頂きましたが、そうした声にこれから少しずつ答えていけたら良いと思います。

 初回という事で、まずは私の意見の大まかな部分を提示したくて、細部を端折りました。ただ、少なくとも、私がなぜ石油生産ピークを重視するのか、その妥当性についての説明と、原子力再生可能エネルギーに対する考え方はいずれ示していかなければならないと感じています。そこまで連載が継続できるよう頑張ります。

 さて、今回はまた違った視点のお話です。

サウジの一人当たり石油消費量は日本の2.8倍
 「BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)などの新興国の石油需要が増加し・・・」などとよく言われますが、実際にはどの国の需要がどれくらい伸びているのでしょうか。まず、石油消費量の増加が最も大きい国は、皆さんご想像の通り中国が圧倒的です

 しかし中国に次いで増加量が大きい国はBRICs諸国ではなく、意外にもサウジアラビアだったりします(図1)。しかも、人口13億人の中国、12億人のインド、1.9億人のブラジルに対し、サウジアラビアの人口は約2700万人に過ぎません。この増加分がいかに大きいかがわかると思います。


 サウジアラビアは既に、米中日印露、に次ぐ世界第6位の石油消費国ですが、一人当たりの石油消費量は15.5リットル/日と、アメリカの約1.6倍、日本の約2.8倍にもなります。意外にもサウジアラビアの人々がかなり大量の石油を消費しているということがわかります。

図2 一人・1日当たりの石油消費量の比較
EIA統計および各国人口統計から



 サウジアラビアが国内の石油消費を急増させている背景には、以下のような要因があると言われています。

(1) 継続的な人口増加(人口増加率2.12%、イスラム教は避妊・堕胎が禁止、海外労働者移民の増加) (2) 高い経済成長率(2010年4.15%、2011年6.47%) (3) 生活の変化(自動車・エアコンの普及) (4) 安いエネルギー価格(ガソリン=約13円/リットル、軽油=約5.4円/リットル、発電用石油=2.7〜4.3ドル/バレル)を背景にした浪費 (5) 夏期の電力需要の急増に対する石油火力での対応 (6) 多くの海水淡水化プラント (7) 産業政策としての石油化学工業振興

 特に近年は5番目の要因が大きいと言われています。エアコンの普及に伴う夏期の電力需要急増に対応するために、火力発電向けの石油消費が約3倍(2008年比)になり、全石油消費の2割を超えるようになりました。


国内消費が輸出を脅かす

 急増を続けるサウジアラビア国内の石油消費は石油生産量の4分の1にも及び、既に輸出を脅かす水準に達しています。

 昨年の7月、サウジアラビアの著名な投資会社Jadwa Investmentが衝撃的な報告書を発表しました。それによると、

サウジアラビア原油輸出量は2005年の7.5mbd(mbd: 百万バレル/日)から既に減少し始めている
国内石油消費量は2030年には6.5mbdまで増大し、原油輸出量は4.9mbdを下回る
としています。

 これをグラフにしたものが図3です。原油生産量が増加するのにもかかわらず、輸出量は減少してしまいます。


 この報告書では、原油生産量の予測としてIEA(国際エネルギー機関)のものを採用していますが、報告書のなかで「この生産量予想を上回ることは期待していない」とも言っています。今回はサウジアラビアの石油生産量についての細部には入りませんが、既に生産ピークを過ぎたという指摘も多くあることだけ付記しておきます。

図3 サウジアラビア石油統計とJadwa Investmentなどの予測


点線はJadwa Investmentの予測

 Jadwa Investment以外にも、サウジアラビア内外から同様の分析が出てきています。国営石油会社サウジアラムコのKhalid al Falih社長は、2010年頃にさまざま場所で「国内のエネルギー効率が改善できなければ、輸出能力は2028年までに3mbd減少するだろう」と述べています。

注:近年のサウジアラビアの石油生産には原油以外に約2mbd程度のNGL(Natural Gas liquid: 天然ガス液体)という天然ガス採掘に伴う液体成分が含まれます。通常「石油」とは、「原油」や精製された「石油製品」などを含む広い概念です。一方、Jadwa Investment の分析ではNGLを除いた「原油生産量」「原油輸出量」のみの議論をしています。そこで、この記事でも生産量および輸出量に関してはNGLを除いた「原油」のみを扱い、消費量に関しては石油製品を含む「石油」を念頭においています。実際にはNGLを含める方が現実に即しているのですが、データの引用における混乱を避けるためにこのように判断しました。その点を留意してください


 一方、OPECサウジアラビア代表であるエコノミスト、Majedal Moneef氏(次期OPEC事務局長候補)は、2011年4月に「今後数年で輸出可能な原油量は10%前後失われるだろう」と発言しています。

 英国の由緒あるシンクタンク、王立国際問題研究所(通称チャタムハウス)は、2011年12月に発表した報告書の中で「2038年にはサウジアラビアは石油輸入国になる」と述べています。 「このままで行けばの話ですね keniti3545」
 ほかにも、大手エネルギーコンサルタントのウッドマッケンジーや、ロシアの投資会社VTB Capitalも同様の分析を公表しています。


主たるエネルギー機関の分析には出てこない

 こうした話はあまり見聞きすることがありません。なぜなのでしょうか。

 日本で目にする主たるエネルギー統計や予想分析には、国際エネルギー機関(IEA)、米国エネルギー省(DoE)、BPなどの分析が使われることがほとんどです。しかし、ニューヨーク大学経済学部のDermot Gately教授らは、それらの主要機関の分析ではサウジアラビアの石油消費予測が“前代未聞なほど”低く設定されていると指摘しています。

 Gately教授によると、過去のサウジアラビアの経済成長と石油消費の関係から推測すると、2030年の石油消費量は7.2mbdと見積もられるのに対し、IEA(3.6mbd)、DoE(3.8mbd)、BP(3.8mbd)の予測はその半分に過ぎません。また、2030年の原油生産量に関してもDoE、BPが大きな生産増加を想定しています(図3)。

 このように、“主たるエネルギー機関”の分析では、国内消費量の予測も原油生産量の予測もかなり甘めに見積もられているため、サウジアラビア原油輸出の将来は安泰ということになっています。その為、私たちが通常目にするのは、平和な予測ばかりになります。しかし、過去数年を見ただけでもそれらの機関の予測は毎年ことごとく外れ、厳しい方向に修正が重ねられています。権威ある機関だけでなく、より現場に近い声やセカンドオピニオンにも耳を傾けるべきではないでしょうか。 

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(keniti3545)
*先進国の早期てこ入れ等は必要になるでしょうが、当事国の「サウジアラビア」にしてもこの傾向に気付かぬはずもなし、手をこまねいて無駄遣いに走り続ける訳にも行きません。この件に関しては、「世界の石油危機」の局所版と見れば筋書きも少々変化あり、数値にしても世界版の後追いに近い状態にはなるでしょう。

また、この議論は、「武田邦彦教授」が我々にも分かり易い展開をして見せてくれましたね。 「世界の石油危機」と騒がれて、極論は40年で枯渇か?と、しかし、40年経っても又40年? どうもこれは新たな油脈を見つけて試掘、そして使える迄に40年かかると言う事かと思える節もあるとされた経緯もあった見たいですね。1万年分はある?と言う人もいます。しかし、限りある「資源」であることも間違いありません。

だから、この記事で指摘する懸念というか計算も成り立つ事は事実なのでしょう。 これからの人間社会は「それをどうしますか」?を、考えていかなければならないのですよね。ですから、我々国民は「情報の採り入れ方」・「判断の仕方」を勉強しなければ行けませんね。そして自分の考えでものを言う事の訓練も必要でしょう。

今日取り上げた記事も大いに発展性のある議論、これからの日本にとって「大切な一題」です。この計算の成り立ちに、目を配る事・対極の意見も聞く事その上で自身の結論を出してみましょう。対極の一文には「武田邦彦教授」のこの一文をお勧めします。 → http://takedanet.com/2011/12/post_2c1a.html 約10分音声です。(keniti3545)   

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2014年には財政赤字になるとの予想も

 次にポイントとなることは、サウジアラビア政府の財政事情です。サウジアラビアなどの多くの産油国では、石油の輸出によって経済が成り立っているため、その国家財政も自動的に石油に依存しています。

 サウジアラビアでは、国民の不満を解消するために、石油で得た莫大な収入をエネルギーや水などに対する補助金という形で分配しています。ガソリンや電気は著しく安く設定されているため、浪費が進みます。水は電力を使って海水を淡水化して供給(住宅用の約6割、工業用のほぼすべて)しているため、安い水の浪費は即ち電気の浪費につながっています。

 すると、補助金額は膨らんでいく一方、輸出量は圧迫され歳入は減少するという悪循環に陥ってしまいます。石油価格の上昇によって生み出された構造が、さらに高い石油価格を必要とさせてしまうのです。

 既述のJadwa Investmentの報告書では、今後図3の予想通りに推移すると仮定すると、サウジアラビア政府が財政赤字を防ぐために必要な石油価格は2020年頃から急激に上昇し、2030年時点で1バレル321.7ドルという価格が必要になると試算しています。ただし、これは現実的なシナリオではなく、実際には2014年に財政赤字化することになるだろうと予想しています。


アラブの春」が「シーア派の春」に転化する懸念

 そうした事態を防ぐには、補助金をカットして国内のエネルギーや水価格を引き上げ、需要と補助金の抑制を図る必要がありますが、それを簡単には実行できない事情があります。

 昨年末、南米のボリビアパキスタンにおいて、政府がエネルギー補助金の廃止・縮小の方針を発表したところ、激しい抗議デモやストライキが発生し、その方針は即撤回されました。さらに、今年1月、ナイジェリア政府がエネルギー補助金を打ち切ったことで激しい抗議デモが発生し、多数の死者を出す事態にまでなりました。

 サウジアラビアでは、昨年末頃から東部のシーア派住民による民主化デモが活発化しており、“アラブの春”が“シーア派の春”へと転化するという懸念が強まっています。

 以上のことを鑑みると、サウジアラビア政府が安易に補助金を縮小できない事情がうかがえます。さらに、そうした暴動や周辺国を含む混乱に備えて軍事費(歳出の3分の1を占める)も拡大しています。

2030年までに原発を16基建設する予定だが…

 サウジアラビアでは、10年後に2基の原発を建設し、その後毎年2基ずつ増設して2030年までに計16基の原発を建設する計画があり、それによって電力の20%をまかなうとしています。ただし、その計画が事態の解決に間に合うのか、計画がどこまで実現するのかは不透明です。

 天然ガスの開発も拡大させていますが、サウジアラビアのエネルギー研究機関KAPSARC(King Abdull ah Petroleum Studies and Research Center)のある研究員によると、「外部のエネルギー機関が期待しているほどの天然ガス供給の拡大は難しい」とコメントしています。

 また、太陽光発電を中心とした再生可能エネルギーの開発にも力を入れています。しかし、アラブ石油投資会社の経済調査部長 Ali Aissaooui氏によれば、「太陽光発電はエネルギーバランスに大きな影響を与えないだろう」とコメントしています。

 このような石油以外の発電手段の開発は、電力部門の石油消費の抑制にはなりますが、これだけでは全体の石油消費増加を停止させることはできないでしょう。


 サウジアラビアは、かつては1バレル20ドル前後で石油価格を安定させる調整役としての役割を担ってきました。しかし、近年のサウジアラビアの言動を観察していると、あたかもその戦略は変更されたかのように見えます。つまり、何らかの要因で石油価格が上昇した場合に、様々な理由をつけて必ずしも十分な増産を行わないことで、高い石油価格を維持して悩ましい財政事情を切り抜けようとしているように見えるのです。しかし、その戦略もいずれ限界に達し長くは続きません。少なくとも、かつてのように世界経済のためではなく、自国の経済を最優先するという当然の傾向が顕著に現れています。


「輸出量」こそが輸入国にとって重要な数字

 世界最大の埋蔵量を誇り、世界第2位の産油国(現在の第1位はロシア)であるサウジアラビアの石油消費量が急増しているという事実から、何が言えるでしょうか。

 まず思い出さなければならないことは、石油の統計を見る場合、産油国の「生産量」ではなく「輸出量」こそが、私たちのような輸入国にとってより重要な数字であるという当たり前の事実です。全体の生産量は増加していても、輸出市場に出回る石油の量は減少しているということがあり得ます。

 世界の余剰生産能力の多くを受け持っているサウジアラビアにおいて、たとえ生産量を保っていても国内消費の増加によって輸出量が脅かされれば、世界の石油需給はさらにタイトになってしまいます。

 このような事態は、もちろんサウジアラビア以外の産油国でも起き得ます。長年にわたり日本などに原油を輸出してきたインドネシアは、油田の老朽化と国内需要の高まりによって2004年に純輸入国に転じました。そして今年1月、「基本的に輸出より国内需要を優先する」として、原油輸出の停止を検討していることを明らかにしました。日本がインドネシアから輸入する石油の量は全体の2〜3%ですが、日本の火力発電所で燃やされる石油の約5割(東京電力関西電力では約7割)は、環境への配慮から非常に良質なインドネシア産の低硫黄C重油であり、大きな影響が懸念されます。

 まして、サウジアラビアは日本が輸入する石油の3割を占めています。現在の傾向が続けば、サウジアラビアが輸出を減らさざるを得ず、現状は非常に悩ましいものと言えます。

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◎我がこの記事を敢えて取り上げたのは、世界的な「ピークオイル」更に局所、々でも、特に産油国がこの手の発信をして来るときに我々が一々ガソリンの買い占め、トイレットペーパの買い占めに走り回る愚を避けましょうという声を発したいのと、この記事発信者もシリーズでメタンハイドレートを含む新燃料のニュースまで取り上げたいと言っているので寧ろそちらへの期待を込めてUPしてみました。お役に立てば、勿論我れ自身の備忘録としても。です。

・身内の事情は、自分達で対処してよ!と言いたいところですが、「ユーロ危機」みたな例もありますしね、厄介ですね。 (keniti3545)