71才の365日9月9日(金)晴れ15℃「東日本大震災」183日

*朝トレ:(中止) 女房殿急遽東京行き、家事申し送り・東部日光駅まで運転手役。帰り、お使い言い付かる。 朝トレの時間帯外れ、夕方に出来るか?




*「東日本大震災」183日

 今日の一題 「説明責任は重いですよ! 約束ですから!」

[原発再稼動への疑問]  (ハンター)

「積み残された安全対策」

 将来的な「脱原発」を明言しながら、原発再稼動に積極的な野田新政権だが、原子力災害時の安全対策については、問題が山積したままになっていることがわかってきた。
 万が一、原発事故が起きた場合、福島第一原発の事故と同様、住民批判などで必要な情報を得られず、混乱を招く可能性が高い。
 安全対策の強化を積み残したまま、原発再稼動や原発そのものの是非を論議するのは間違いではないだろうか。

 
SPEEDI」改善進まず
  原発事故が発生した場合の迅速な住民避難に資することを目的に整備された緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム「SPEEDI」だが、福島第一原発の事故に当たっては、何の役にも立たず、多くの批判を浴びてきた。
 しかし、同システムを所管する文部科学省は、例年通り同省の天下り法人「原子力安全技術センター」との間で約8億円のSPEEDI運用に関する業務委託契約を締結していた(詳細)。
 業務内容の変更もないまま、福島第一原発の状況が悪化する一方だった3月14日に契約締結を起案、4月1日に契約を交わしていたもので、政府の原子力災害への甘い姿勢を露呈した形だ。

 SPEEDIが機能しなかった理由として、地震発生と同時に放出源情報を得るための排気塔モニターが壊れたことが挙げられているが、排気塔モニターの整備は経済産業省の所管になるという。
 経産省側に改善状況を確認したところ、「(改善のための)予算はつけております」。つまり、全国の原発において、問題点の改善は終わっていないということになる。なんとも悠長な話だ。


期待できない「オフサイトセンター」
 全国の原発には、事故に対応するための緊急事態応急対策拠点施設が設けられており、これを「オフサイトセンター」と呼んでいる。
 全国20箇所のオフサイトセンターは、原子力災害時、国や地方自治体などの関係者が参集し、緊急時の情報を共有しながら住民避難などへの適切な対応を導くための施設だ。
 平成12年だから17年度までの6年間で約387億円が投入された事業だが、福島第一原発の事故では地震発生と同時に電源を喪失。役に立たぬまま県庁に機能を移していた。
 SPEEDI同様、長年投入された税金はまったくのムダだったことになる。

 九州電力が事業者となっている玄海原発佐賀県玄海町)には「佐賀県オフサイトセンター」(唐津市)、川内原発(鹿児島県薩摩川内市)には「鹿児島県原子力防災センター」(薩摩川内市)がそれぞれの対応施設として存在するが、取材した時点ではいくつかの大きな問題点が明らかになっている。
 
 オフサイトセンターは、原子力災害対策特別措置法によって設置が義務付けられた施設なのだが、同法ではセンター設置の地理的条件として《当該原子力事業所(注:原発のこと)との距離が、20キロメートル未満》としている。
 放射能災害にあたって、原発から20キロメートル以内の距離にある施設が十分機能するかどうかは疑問だ。
 さらに、「佐賀県オフサイトセンター」や「鹿児島県原子力防災センター」への直接取材では、両施設ともに放射性物質の侵入を防ぐ高性能フィルターなどの防護措置が施されていないことがわかっている。
 地理的条件や防護対策に関しては、いまだに議論の段階で、実際には何も改善されていないのが現状なのだ。

「再稼動」議論の前にやるべきこと
 「日本の原発では重大事故は起こらない」としてきた原子力行政の甘さと言えばそれまでだが、福島第一原発の事故を経た今、原子力防災対策が改善されないままで原発再稼動の議論だけを先行させるのは間違いだ。
 
 SPEEDIやオフサイトセンターの法的根拠となっているのは、平成11年、茨城県東海村でJCO(株式会社ジェー・シー・オー)が起こした臨界事故を受け制定された「原子力災害対策特別措置法」(原災法・平成11年12月制定、12年6月施行)だが、同法の規定に誤りや甘さがあったことは否定できない。
 
 野田新政権には、原災法の見直しを含め、安全対策の強化を先行するよう強く望みたい。
 「再稼動」についての議論は、安全対策が終わってからのことだ。

◎ こういう問題は、どなたかスポークスマンが答えてほしいところですね! (keniti3545)




* もう一題:前題の如く政府への猛省を促すと共に被災者の国民も深く悩みます。武田先生初め科学者の良識で滅私的覚悟の警鐘も必要です。この最悪の状態の国土、日本全土が被災地なのだからこの状態を国民全てが共有しなければならない。 それには、科学者は本当のことを言わなければならないし時に過激に聞こえようとも最大限のアピールをして、政府・マスコミの「なあなあ」作戦にも乗せられない体質も作らなければならない。  (keniti3545)

○一関市長さんの、質問状公開の了解も、評価出来る態度であると思います。 (keniti3545)


*「一関市長さんへのご返事 武田邦彦

一関市長さんにはさきほど、同じ内容のメールを差し上げましたが、メールは私信ですので市長さんのご了解を得ましてブログにて公開いたします。

・・・・・・・・・(市長さんからのメール)・・・・・・

中部大学教授 武田邦彦

あなたが、9月4日放送の「たかじんのそこまで言って委員会」に出演中、一関市の名前を出しながら、今生産するのが間違っているとか、畑に青酸カリが撒かれた、青酸カリをのけてから植えてくれ、東北の野菜とか牛肉を食べたら健康を壊す、などと発言したことに対して、地元自治体の首長として強く抗議します。

あなたは、発言を取り消すつもりはないとも語っていましたが、本当に取り消す考えはないんですか。それを確認の上、今後の対応を考えていきます。    岩手県一関市長 勝部 修

・・・・・・・・・(以下、ご回答です)・・・・・・

岩手県一関市 勝部 修市長殿

メールでお問い合わせをいただいた件、内容ごとにご返事を差し上げます。

1. 「畑に青酸カリがまかれた」について

テレビで発言するにあたり、できるだけわかりやすく、しかも科学的に間違いの無いように配慮しました。放射性セシウム137の{成人、経口}での50%致死量は0.1ミリグラム程度です。これに対して青酸カリは{成人、経口}で50%致死量が200ミリグラム程度ですから、青酸カリの方が約2000倍ほど毒性が低いという関係にあります。

放射性物質は目に見えない」と言われますが、科学的には「あまりに毒性が強いので、目に見えないほど微量でも死に至るもの」と言えます。従って、青酸カリは一般的に猛毒であることが知られており、かつ単離しうる化合物であることから青酸カリを例に出しました。

つまり、放射性セシウムの方が青酸カリより約2000倍の猛毒であり、それが一般的に知られていないので驚いた方もおられると思いますが、このようなことこそ政府などが国民に知らせ、除染しないまま作物を生産するのに慎重にならないいけないと思います。

2. 一関に触れたことについて

すでにこのブログで紹介していますが、国、自治体などが測定した空間線量をある専門家が地図にしたものによると、東北では、福島の浜通り中通り、岩手の一関の汚染が国内法の規制値を超える可能性があります。ご存じの通り、日本の法律では放射線に関係して一般人の被曝を1年1ミリシーベルト以下にすることを求めています。事実、東電の事故の後も保安院が東電の社員(もしくは下請け、成人)が1年1ミリシーベルト以上浴びたとして東電を処分しております。また「放射線に汚染されたものではない」という限界(クリアランス・レベル)はさらに100分の1の「1年に0.01ミリシーベルト以下」と定まっており、違反者には懲役1年以下の罰則が定められています。従って1年1ミリシーベルトを超える可能性が高い地域として福島はすでに認識されていますので、それに加えて一関をあげました。

文科省は1年20ミリシーベルトへ被曝限界をあげましたが、この基準は福島県の児童・生徒のみなのか、または福島県でも線量率の低い地域も多いのですが、そこも含むのか明確ではありません。また食品汚染の基準値も1年に5ミリから20ミリと高く、東北を中心として自治体などで法律を守ることを積極的に示しているところは少ないように思います。

このような現状を踏まえ、またお子さんのご質問が「東北の」ということでしたので、私も「東北」と答えていますが、これを「福島の」と言っても福島のすべての野菜がすべて汚染されているわけではありませんので、厳密性に違いはありません。外国人なら「日本の」と質問するでしょうし、お子さんが「東北」とお聞きになったのは適切と判断しました。

3. お子さんの質問を大人の問題としてとらえたこと

テレビではお子さんは「東北の野菜を食べると体はどうなるか?」という趣旨の質問をされました。これに対して私は「東北の野菜を出荷するな」という趣旨で発言しました。これは、子供の被曝の問題を大人の問題としてとらえなければならないと考えたからです。つまり、仮に私がお子さんの質問を正面から答えると「汚染されている野菜を食べると被曝して**になります」ということになりますが、それでは私が考える真の意味での回答になっていないと思います。

つまり、子供が被曝しているのは大人の行動が原因しています。だから、お子さんには心配の原因を除くという回答が必要です。仮に東北の農作物がすべて「ベクレル表示」されて販売されていれば、「**ベクレル以下は大丈夫です」とより科学的に答えられますが、スーパーなどで販売されるとき「**産」と表示されていること、国の暫定基準値が大きく1年1ミリシーベルトを超えているという現実があり、お子さんの質問に直接回答するののは不適切と考えました。

以上、私の見解を書かせていただきました。一関市を預かっておられる市長さんとはご意見が異なるかも知れませんが、私は日本国憲法が保証している学者としての学問の自由と国民としての言論の自由のもとに発言しております。

学者が学問的見地から発表したことを、政治、行政などがどのように解釈し、それを参考にするかは政治、行政側の問題であり、学者は学問的良心に基づくべきで、社会的なことを過度に配慮してはいけないと考えています。また、発言は私の科学的判断と正直な気持ちでそのまま言っておりますので、恐縮ですが事実ですから取り消しはいたしません。

なお、お子さんの被曝に関する私のスタンスについて触れさせていただきたいと存じます。

すでにこのブログで再三、書いていますが、私の見解は今回の事故で、農家の方もお子さんも東電の被害者なのです。ただ、農家の方は発言や行動をすることができますが、お子さんは声を上げるのが困難です。その点では保護者の方も苦労されていますが、組織的な動きが難しいので辛い思いをされている方も多くおられます。その点では農家の方とお子さんが一刻も早く「被害者という状態」を脱しなければならないと思っています。

そのため、事実を隠すのではなく、むしろ積極的に毒物を除く除染を東電(できなければ当面は国)が全力でやるべきです。事故から半年ほど経っても「猛毒を他人の土地にまいて知らぬ顔」です。それを住民の健康を預かる自治体や正しい情報を提供すべきマスコミなどの日本社会がそれを指摘しないことを歯がゆく思っています。この際、農家の方、お子さんの保護者の方、自治体の方が力を合わせて東電に「直ちに除染して、もとの綺麗な国土に戻せ」と求めるのは当然と思います。

しかし、現実は「我慢しろ」、「そのぐらい大丈夫だ」。「痛みを分かち合う」というように東電がやらなければならないことを国民に転嫁し、正常な国土に戻す行動を遅らせる動きもあります。このような動きは近年に起こった食品関係の問題と比較するなら、きわめて特殊で、「東電は大きな会社だから追求しない」と感じられます。

でも、その間にも子供は給食などで被曝しており可哀想と思っています。またお母さんは毎日のように食材を選ぶのに苦労しておられます。一刻も早く、除染の加速とともに、生産者、流通が「食材のベクレル表示」をしていただきたいと希望しています。

一関をもとの美しい状態に戻すために市長さんが大変なご努力されていると思います。是非、早くもとの姿に戻ることを期待しております。

草々

武田邦彦




*社説読み比べ:休止