「71才の365日」6月17日(金)雨14℃ 「東日本大震災」99日

*朝トレ:雨で中止
後刻実施あれば書き残す。


*今日は、女房殿東京行き→21日までの予定。 この間、「空白の独房or行状記」は下書きに残し後日密やかに追記。




*「東日本大震災」99日

 「今日の一題」  
 ◎安全に「0災害」「事故0」は自然界にも産業界に於いても不可能、
        ならば、後処理ができない物は扱うべきではない! 「keniti3545」

 
・ 多分これから1大議論に発展して、と言うより下記の課題を如何にクリヤーしていくかの問題でしょう。
   
徹底予測 日本の復興  (日経ビジネス


◎それでも一定水準の原子力発電は残さざるを得ない

 問われる日本のエネルギー戦略 寺島 実郎  【プロフィール】 バックナンバー2011年6月16日(木)1/3ページ


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 3月11日に起きたことは、地震津波という自然災害と、原子力発電所の事故とに分けて考える必要があります。

 もし、起きたことが地震津波までであればどうだったか。それだけでも大変悲惨な出来事ではありますが、おそらく日本は3年以内に復旧したでしょう。底力を、世界に見せつけたに違いありません。GDP国内総生産)は、今年はもしかしたらプラスになるかもしれないという声も出始めているほどです。来年には、復興需要も含め、リバウンドをしていたと思います。

 ところが、原発の事故が、自然災害とは次元の違う話として、世界を凍りつかせています。
 これにどう対応していくのか。
 これが、将来の、世界における日本のあり方を大きく左右することになるでしょう。ポスト3・11の日本はどうなるかと問われたら、その答えは、原発の事故をどう収斂させていくかに集約されるのです。
 そしてこの収斂の仕方で、日本はもちろん、世界各国のエネルギー戦略における原発の位置づけが変化します。

 今、国内の風潮は、「原発は人間の制御の限界を超えた技術だ」となっています。こういった技術とはできるだけ早く距離を取り、主力電源の供給源は自然エネルギーに切り替えた方がいいという意識が、メディアにも国民にも強くなっています。

 本当にそうすべきでか冷静に見極める必要があります。

原子力発電は本当に安いのか?

 民主党政権は、2010年6月に誕生した際に、新たなエネルギー基本計画をとりまとめました。2030年までのエネルギー長期戦略を明らかにしたのです。
 民主党政権は、そのスタート時に、社民党という原発反対政党を連立パートナーとして抱え込んでいたため、原発をどう位置付けるのか、大変注目されていました。
 明らかにされた計画は、エネルギー基本計画の策定に携わっていた私も驚くほどのものでした。
 電源供給の5割、1次エネルギー供給の26%を原子力でやるというからです。
 自民党政権時代のエネルギー基本計画では、原子力の占める割合は、電源供給で言えば3割から4割、1次エネルギー供給では15%です。
 民主党政権は、原子力に大きくかじを切ったのです。

 理由は環境です。二酸化炭素(CO2)の排出量を1990年比で2020年までに25%削減する。そのためには、原子力に比重を置かざるを得なくなったため、“環境に優しい”原子力を推進することにしたのです。

 従来から、原子力推進派には、論拠が2つありました。
 1つは、今述べたとおりで、原子力は環境に優しいということ。
 それから2つ目はコストが安いということです。もっともこれには、うまく稼働し続けたならばという前提がつきます。
 私は、この2つの理由で原発を推進するのは間違いだと、明確に、ずっと語り続けてきました。私は原子力推進派でもなければ反対派でもありませんが、その2点を根拠にするのは間違っている。

 なぜならば、仮にチェルノブイリのような事故が起きたなら、原発はもはや環境に優しいどころではなく、また、稼働しない期間が延々と続き、コストも安いとは言えなくなるからです。
 今回いみじくも明らかになったように、環境とコストという論拠は、事故が起これば吹き飛ぶ程度のものでしかありません。
 推進派は、そういう事故が起こったとしても、それでも原子力に踏み留まるべき理由をよく考えるべきでした。



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 今回の原発の事故は非常に重い事実です。これを受け、今後、民主党政権はエネルギー基本計画を見直さざるを得なくなりました。
 そして、世界的の広い範囲で、原発は、永久に人類のエネルギーを支えるものではなく、ある期間、人類のエネルギー体系を支えてくれる過渡的な供給源だと捉えられることになるでしょう。

 それでも、日本には、ある一定の割合で、原発を持ち続けなくてはならない理由があります。

 まず、日本は、徹底して原子力を平和利用してきた国です。その日本が、原子力という分野において果たすべき責任は非常に重いのです。

 日本以外の大国と呼ばれる国、特に国連で拒否権を持つような国々はみな、軍事力としての核を持っています。それに加えて、原発を持っている。軍事力の核と平和利用の原子力発電を両輪のように動かしているのです。そういった国と比べると、日本は特異です。核を持たないのに核燃料サイクルを許容されているのは、それはひとえに、技術力があるからです。
 今、原発を手放すと、核を持たない日本からは、原子力関連の技術を育て、蓄積する受け皿がなくなります。

 アメリカでは、スリーマイルの事故以来、原発を1基もつくらずに今日に至っています。 しかしアメリカには、原子力空母が10隻あります。原子力空母というのは、言わば、30万キロワット級の原発を2基搭載しているようなものです
 原子力潜水艦も72基あります。原子力潜水艦は5万キロワットの小型原発を積んでいるようなもの。
 つまり、アメリカは、原発は新設せずとも、この分野の技術者を新たに育て、蓄積していける基盤を持っているということです。

原発がアジアで林立していく中で日本は

 日本はそうではありません。そして、日本のようになろうとしている国が、今、日本の周辺に増えています。
 例えば韓国はすでに24基の原発を動かしていて、これからも増やす計画です。台湾もそうです。ほかのアジア諸国原発に移行しようとしています。中国は平和利用だけを考えているわけではありませんが、原発を増やす計画に変わりはなく、現在の1080万キロワットを、2030年までには8000万キロワットに押し上げようとしています。

 日本が脱原発を推し進めても、そうしなくても、見渡せば周囲には原発が林立しているという状況に迫っていくことだけは間違いがありません。
 アジアで福島第一のような事態が起こったなら、その影響は必ず日本に波及します。今、福島が世界を凍りつかせているのと逆のことが起こります。

 そう考えると、日本だけが脱原発をしても、意味がありません。
 また、そういった事態が起きたとき、日本に原子力に関する技術基盤が蓄積されていなかったなら、国際的なエネルギー戦略の中で、日本は部外者になってしまいます。
 今、国際原子力機関IAEA)のトップは日本人です。これは、今まで日本が平和利用に徹してきたことを、国際社会が評価した結果です。
 今が踏ん張りどころです。蓄積してきた技術力で福島の事故を収斂させて見せることが重要なのです。


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 日本はよく、同じ敗戦国であるドイツと比較されます。ドイツが再生可能エネルギーに懸けていることから、エネルギー面においても、日本もドイツのようにあるべきだという論を唱える人もいます。
 しかし、ドイツと日本には大きな違いがあります。
 ドイツには、そうできるだけのバックグラウンドがあり、日本にはないという点です。
 ドイツは、フランスとの和解のプロセスから始まってEUという仕組みをしっかり立ち上げ、原子力関連技術を相互に交換し合えるEuratomという組織を作りました。電源の8割から9割を原子力発電で賄う隣のフランスとの間で、何かの際にはエネルギーを相互に融通し合える信頼の基盤をつくり上げてきたから、再生可能エネルギーに絞り込めるのです。
 しかし日本は、そういった基盤を構築し得ないまま、21世紀を迎えました。
 ドイツのようには振る舞えません。

 である以上、原発を安定的にオペレーションできる技術者を守り、多重防御の前提が崩れた緊急事態に対応できる技術者を育てなくてはなりません。
 今の、脱原発の風潮は、それを困難なものにしようとしています。

 振り返ると、1960年代は、「日本にも原子力を」という動きが高まっていた時代でした。当時の東大工学部原子力工学科といえば、全国の理系志望者のなかでも最も優秀な部類の人間が、胸を張って目指す世界でした。
 ところが、海外ではスリーマイルやチェルノブイリ、国内でも東海村の臨界事故が起こり、原子力に対する世論が揺らぎ、原子力政策が揺らぎ、原子力工学科という名称では人が集まらないからと、名前まで変えた。
 そんな状況では技術者は育ちません。

 原子力を支えようという優秀で志のある人材を育て、技術を蓄積していくには、国に覚悟と責任がないとなりませんでした。これは、これからもそうです。
 国はさらに、電力会社9社と、電源開発、そして日本原子力発電とに分散している技術者にガバナンスを効かせていく体制を整えなくてはなりません。
 
 今、日本が化石燃料への依存度を再び高めることは得策ではありません。
 逆に、金に飽かして化石燃料を買い、贅沢な生活をするという時代を過去のものにするためにも、ある程度は原子力を持ちこたえるのだという決断を下す覚悟と勇気が、今の日本には求められています。

日本がエネルギー価格の高騰を招く

 中部電力は、浜岡原発を止めた状態でこの夏をしのぎ、さらにこの先数年をしのぐため、LNG液化天然ガス)の購入を増やそうとしています。
 世界の目には、この動きはこう映ります。
 原発を止めた日本は、ひとまず化石燃料への需要を高め、LNGや石油の世界に踏み込んでくる。
 これは、マネーゲームに興じる人々の心に強く響きます。日本がエネルギー価格を高騰させるだろうと。
 途上国からも突き上げが起こるでしょう。「おたくはいいですよね。産業力で外貨を稼いで、それで石油やLNGを買って、自分たちは生きていけるわけですよね。それで価格が上がってしまったら、途上国ほど困るんですよ」と。

 日本国内だけを見ると、浜岡を止めて良かったと溜飲を下げていられるかも知れません。しかし、すべてのものごとは連鎖しています。貧困と分配の格差のある世界で、日本が無神経にエネルギー価格の高騰をもたらし、さらに大きな問題を引き起こすことは、あってはなりません。

 これからの日本のエネルギー戦略を考えるには、ここまで配慮しなくてはならない。
 総合的な構想力がいるのです。

 ただ、日本においても、再生可能エネルギーの比率を高めていかなくてはならないことには論を俟ちません。現状では、その占める割合は、3%ほどです。そしてそのうちの6割は水力発電水力発電再生可能エネルギーにカウントして、それでようやく3%。
 ですから、バイオマス地熱発電などが、すぐに日本の電源の救世主になるとは考えがたい。地熱発電ひとつにしても、日本では簡単には踏み込めません。なぜなら、国立公園法により、ほとんどの温泉地には、発電所を建設できないからです。もちろん法律を変えればできます。しかし、それには時間がかかります。住民運動も起こるでしょう。

 今から化石燃料の世界に踏み込むことはできず、そして今すぐに再生可能エネルギーにすべてを託すこともできない。
 この状況にあっては、原子力推進体制の見直しを前提として、原子力を含めての電源確保を前提に、そのなかでどうバランスを取るべきかを考えて行かなくてはなりません。
 では、どの程度のバランスを保つべきか。
 私は、電源供給の25%から30%、1次エネルギー供給の15%くらいを原発でまかなうのがベストバランス、エネルギーのベストミックスだと考えています。

(寺島氏が復興計画のあり方について語る次回は、6月21日に掲載の予定です。構成:片瀬 京子)


* 原発使用せずでの心配事(特に自然エネルギーに転換したときの費用面が主ですね?、6月21日の続編には今度は是非、再度事故が起きたときの後処理費用もシミュレーションして見せて頂ければ議論する価値はあると思いますが?)  (keniti3545)